
図書館制度・経営論ってどんな科目?

図書館の法制度や運営のあり方などを学ぶ科目だよ
☆合格レポートはあくまでも参考掲載です。丸写しや類似した内容のレポートは不正とみなされるので、絶対にやめましょう!
図書館制度・経営論 レポート設題
組織作りの諸原則の5項目を取り上げ、それぞれについて述べるとともに図書館法第3条(図書館奉仕)に掲げられている九つ(※)の事項の学びから、これらを実現するためにはどのような図書館組織の構築が望ましいか、貴方自身の考え方を含め論じてください。
※設題集では「八つ」と記載されていますが、「九つ」に訂正されています。(「KULeD」→「梅信」→「教材訂正」→「2021.05.03 レポート設題集(図書館司書・学校図書館司書教諭 課程)」参照)
合格レポート
1 序論
本稿では、組織作りの諸原則について述べるとともに、図書館法第3条に掲げられた事項を実現するために望ましい図書館組織の構築について論じる。
2 組織作りの諸原則
組織は、ある目的をいかに効率的に達成するかという視点の下、形成されるものである。その組織作りの基本となる5つの原則を説明する。
(1) スカラーの原則
組織を上層部から低下層まで複数に分け、各階層の責任と権限を明確にし、命令が上から下までスムーズに流れるようにするものである。責任と権限のバランスが保たれていることが重要である。
(2) 専門化の原則
業務を細分化し、各部門または担当者ごとの専門性と熟練度を高めることで経営の効率化を図るものである。この原則は、個人の働きがいとも関係し、重要である。
(3) 命令一元化の原則
部下は特定の1人からのみ命令を受けるようにしなければならないというものである。複数から命令を受けることは、混乱が生じ、業務能力や効率性の低下につながる。
(4) 管理範囲の原則
1人の管理者が監督できる範囲には限界があり、これを越えると管理効率が低下するというものである。通常は10人程度が適正な範囲と言われている。
(5) 権限委譲の原則
上司は、日常反復的な業務や定型化された業務については部下に権限を委譲し、非定型業務やより重要な問題、例外業務に専念すべきという原則である。
経営が非効率となっている組織は、上記5原則のいずれかにおいて歪みが生じている可能性が高いことから、原則に立ち返って組織を見直すことが重要である。
3 図書館奉仕
図書館法第3条には、第1号から第9号まで図書館奉仕の具体例が列挙されている。これらを便宜上「資料収集・提供」、「館外連携」及び「機会提供」の3種に分け、上記の諸原則との関係を明らかにする。
まず、「資料収集・提供」には、第1号、第2号、第3号及び第7号が挙げられる。
第1号では、様々な資料の収集と一般公衆への提供が規定されている。
収集すべき資料の選定に当たっては、館員個人個人が場当たり的に行うのではなく、上層部の責任と権限において策定された方針に沿って、計画的に行われることが望ましい。
つまり、スカラーの原則が守られていることが重要になる。また、その方針は「命令」とも言えるため、命令一元化の原則を踏まえ、様々な方針を乱立させないことが必要である。
第2号では資料の整理業務が、第3号及び第7号ではレファレンスサービスが規定されている。
これらの業務は日常的に行われるものであるから、権限委譲の原則により部下に権限が委譲されるべきである。
また、これらの業務を担当する者は専門職とし、知識と経験を積ませることで効率化が図れるとともに、本人の働きがいを高めることができる。
次に、「館外連携」に該当するのが、他の図書館等との連携を定めた第4号及び学校等との連携を定めた第9号である。
これら他機関との連携に当たっては、現場の担当者間のコミュニケーションが重要なのは言うまでもない。
しかしながら、逆にそこだけ緊密であれば良いという訳でもない。担当者の異動や離職が必ずあるからである。
組織として繋がりを強化するためには、スカラーの原則に則り階層別に責任を持って連携を深める必要がある。
例えば、関係機関との定期会議を代表者会議と実務者会議に分けて開く方法等が想定される。
最後に、「機会提供」に該当するのが、第5号、第6号及び第8号である。
第5号では、分館等の設置と自動車文庫等の巡回が規定されている。
分館については、中央館と離れるため同一の組織であることが意識しづらいが、スカラーの原則に鑑み、中央館の方針に従い与えられた権限の範囲で運営することが重要である。
逆に中央館側は、分館の職員に対し、分館長の頭ごなしに命令をしないよう留意する必要がある。
同号の自動車文庫等の巡回や第6号の読書会等の主催等及び第8号の社会教育活動の機会提供等については、既述のレファレンス業務と同じく普段から部下に権限が委譲され、活発に実施される組織形態が望ましい。
また、やはりレファレンス業務同様、専門の職員を置いた方が効率化に加え、利用者の満足度の向上に繋がるだろう。
以上のように図書館奉仕は多岐にわたり、単独での管理は困難である。すべてにおいて、監督が行き届くよう適正な数の管理者の配置が求められる。
4 結論
図書館における組織は、人々の知る権利を保障するという目的の達成のために構築されなければならない。また、利用者の期待に応じ、組織の姿は変化していくべきである。
人生100年時代と言われる今日、生涯学習の重要性が増している。
図書館は、地域の課題解決支援のため、より高い専門性を持った組織、すなわち主題別組織を設置し図書館法第3条の奉仕を実践する必要があると考える。
そして、組織作りの諸原則は、常に利用者に寄り添った図書館組織構築の前提にあるべきだろう。
(※ブログ掲載に当たり、字下げをなくし改行を増やしています。)

参考文献
・柳 勝文『図書館サービス概論』近畿大学テキスト 2011
講評(抄)
学習・理解はよくできています。論述内容も評価できます。巻末の参考文献から引用文を入れるなど、参考文献の効果的な活用があるとさらに良くなったと思います。
合格レポート作成のポイント
図書館制度・経営論のレポートはどう書いていいか悩みました。
組織作りの諸原則はテキストをまとめるだけでよかったのですが、後半の図書館法第3条に掲げられている「九つの事項の学び」という意味がいまいちよく分かりませんでした。
3条は図書館サービスの内容が規定されているもので「学び」ではないんじゃないかと…。
(ちなみに図書館法第3条の解説は、『図書館サービス概論』のテキストp.4~p.9に載っています。また、条文に列記された漢数字の「一」「二」「三」…は「号」と呼びます。)
とりあえず「学び」という言葉は忘れ、3条に掲げられたサービスを効果的に行うために、前半に記載した「組織作りの諸原則」をどのように生かして組織を構築するかというところを考えてみました。
そのために、3条のサービスを多少強引にカテゴライズし、諸原則の5項目が当てはまるようにしました。
「管理範囲の原則」にうまく当てはまるものがなかったので、「すべてにおいて…」としてわずか2センテンスのとってつけたような記載で終わらせてます💦
やや力技ではありますが、ここしか収まりようがありませんでした。このレポートをまとめるに当たっては、ある程度強引にこじつける力が必要だと思います。
先生の意図したものになったのかいまだによくわかりませんが、1回で合格したということは良かったということでしょう!「論述内容も評価できます」とありますしねw
講評にあるように参考文献にもヒントがあったのかもしれません。
僕は設題集に記載のあった本『大学図書館の管理と運営』(日本図書館協会)を一応借りてみたのですが、パラパラとめくってあまり有効と思えなかったため、ちゃんと読みませんでした。
みなさんは参考文献をしっかりチェックして書いてみてください!

「組織作りの諸原則」は図書館以外でも重要そう!

「スカラーの原則」は絶対守備力も上がるよね!
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