
「灰色文献」って「灰色ウサギ文献」、つまり僕に関する文献のことでしょ?
楽勝楽勝!

この慢心がカメに出し抜かれるゆえんか…
☆合格レポートはあくまでも参考掲載です。丸写しや類似した内容のレポートは不正とみなされるので、絶対にやめましょう!
図書館情報資源特論 レポート設題
灰色文献とはなにか、灰色文献の定義や意義、特性について記述してください。また、灰色文献と言われる具体的な資料名を挙げて、その資料の特徴についても説明してください。
合格レポート
1 はじめに
図書館員が資料を収集するに当たっては、一般的な流通ルートからは入手できない「灰色文献」と呼ばれる資料について知る必要がある。
本稿では、灰色文献の定義や意義、特性について明らかにし、その具体例について述べる。
2 灰色文献の定義、意義、特性
灰色文献の定義として現在最も一般的とされるのが、1997年及び2004年の灰色文献国際会議において議論されたニューヨーク・ルクセンブルク定義と呼ばれるものである。
これによると、灰色文献とは「紙や電子フォーマットで、政府、大学、ビジネス、産業のあらゆるレベルにおいて生み出されるもので、商業出版社によってコントロールされない」「すなわち、主たる活動が出版を本業としない組織によってコントロールされている」と定義されている(注1)。
つまり、市販されておらず、小部数で配布先が限定されているなど入手が容易でない資料が灰色文献に該当する。灰色文献の「灰色」とは、市販され入手可能な資料を「白」、ごく少数の特定者を除き非公開とする機密文書を「黒」と表現した場合、その中間に位置することを意味している。
よって、灰色文献とされる資料の中でも、公開の度合いや入手の容易さから“薄い灰色”、“濃い灰色”と細かく区分されることがある。
近年では、インターネットの普及によりWeb上での資料公開が広がり、かつてに比べ灰色文献へのアクセスが容易になっており、比較的「薄い灰色」が増えつつある。
一方で、このようなWebからの灰色文献の入手には、従来とは異なる問題が生じている。
それについて、池田貴儀は「インターネット上にある情報は、電子化された全文情報がインターネット上で閲覧やダウンロードができる状態にあるだけで、恒久的なアクセスが保証されているわけではない。提供側の都合による公開取りやめやリンク切れが原因で、突然その情報源へアクセスできなくなる可能性もはらんでいるなど、情報の保存や流通の面においては課題が数多く存在している」と述べている(注2)。
3 灰色文献の具体例
灰色文献には、次のようなものが該当する。
(1) 政府刊行物
国の諸機関によって刊行された出版物をいう。行政のみならず、立法、司法すべての機関による資料が含まれる。
具体的には、各省庁による行政報告に当たる白書、国会における会議録、最近多数の誤記載の問題が発覚した最高裁判例集などが該当する。政府刊行物は、民主主義国家において国民の知る権利を充足するために不可欠な資料である。
(2) 地方自治体が作成した資料
上記政府刊行物の地方版に該当する資料である。都道府県や市区町村が作成した報告書や統計、計画等が該当する。
近年では公立図書館において地域資料の収集が盛んとなっており、自治体によっては、各部署における刊行資料を当自治体が運営する図書館に提供する仕組みが設けられている。
(3) テクニカルレポート
民間のシンクタンク、調査研究機関などが政府からの委託を含む様々な研究の成果として技術情報を伝達する資料等がこれに該当する。
文部科学省及び日本学術振興会が交付する科学研究費補助金の成果として報告が義務付けられている「研究成果報告書」も重要なテクニカルレポートに位置付けられる。
(4) 学位論文
学位(博士号)を取得するために書かれた論文をいい、審査大学と国立国会図書館において所蔵されている。
流通を目的としていないが、独創性に富み先進的であるなど新しい知見が得られるため、資料的な価値は高いとされる。
(5) 企業文献
企業が社内や消費者を対象にイメージを高めるために刊行する資料をいい、代表的なものとして社史や広報誌が挙げられる。
特に業界をけん引する大企業の社史は、その国における当該産業の発展の歴史そのものとも言え、大変貴重である。
(6) その他
上記(1)から(5)までの資料よりも比較的身近である美術展の展覧会の図録やカタログも灰色文献に該当する。また、著名な人物の追悼文集や遺稿集なども、灰色文献として収集対象となる。
4 おわりに
ここまで述べてきたとおり、灰色文献は世間に広く流通し活用されているものではないが、資料的価値が高いものが多く含まれる。
住民の知る権利を保障する上で貴重なものであることから、図書館における積極的な収集が望まれる。
灰色文献の概念や対象は、情報通信技術の進展に伴い変容してきている。
灰色文献が有するアクセシビリティの課題は改善されつつあるものの、容易に入手できていたものが突然入手困難となるケースを含め、依然本質的な問題として残されている。
インターネット検索が日常化した反面、検索エンジンに引っかからない資料は存在しないものとみなされ、貴重な資料が埋没したまま日の目を見ないこともありうる。
そのような入手難易度の高い灰色文献と人々をつなぐことが図書館の重要な役割であり、個々の図書館員においては普段から貴重な灰色文献に注意を払い、その専門的知識を活かして収集に取り組むことが求められている。
(※ブログ掲載に当たり、字下げをなくし改行を増やしています。)

参考文献
(注1)池田貴儀『問題提起:灰色文献定義の再考』情報の科学と技術 62巻2号(2012) 50頁
(注2)池田貴儀『インターネット時代の灰色文献 灰色文献の定義の変容とピサ宣言を中心に』情報管理 2015 Vol.58 no.3 196頁
・井上真琴『図書館に訊け!』筑摩書房、2004(おすすめ!)
・馬場俊明『図書館情報資源概論 新訂版』日本図書館協会、2018
講評
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合格レポート作成のポイント
図書館情報資源特論のレポートは、参考文献がとても重要です。
井上真琴著『図書館に訊け!』はほかの方が参考文献に挙げているのをみて知ったのですが、「灰色文献」の具体例が掲載されていて非常に参考になりました。
また日本における灰色文献の第一人者である池田貴儀氏の論文は、読まないとレポート作成がかなり難しいと思います💧
必読と言っても過言でない論文です!
逆に参考文献を読めば、設題にある「灰色文献の定義や意義、特性、具体的な資料名及び特徴」はそこまで苦労せず書けると思います。
身近なもので“これまで意識してこなかったけどこれは「灰色文献」に該当しそうだな”と思うものがあれば、積極的にレポートに記述しましょう。より添削者に伝わるレポートになると思います。
僕は、身近というわけではないですが、最高裁判例集に「最近多数の誤記載の問題が発覚した」という時事ネタをスパイスとして加えました。
このニュースはレポート作成9日前に報道されていたので、タイミング的にバッチリでした😝
ま、いらない修飾語と言われればそうなんですけどね😅
>>図書館の最新情報を入手する方法とレポート・試験で活用する際の注意点とは?
最後、「おわりに」の部分は悩むと思います。
図書館や図書館員は灰色文献をどう扱うべきか、ということを自分なりに考察してまとめましょう!

なるほど!
つまり僕に関する文献が全然見つからないのは、全部灰色文献だからってことだね!

いや、誰も見たことのない無色透明文献だよ!
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