図書・図書館史 合格レポート 2022(近大通信司書)

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ビーちゃん
ビーちゃん

図書館って誰でも無料で使えて便利だよね!?

トッス
トッス

だよね!でも、昔はそうじゃなかったんだよ

☆合格レポートはあくまでも参考掲載です。丸写しや類似した内容のレポートは不正とみなされるので、絶対にやめましょう!

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図書・図書館史 レポート設題

日本または西洋のどちらかを選び、それぞれの時代(古代、中世、近世、近代以降)の図書館発展の特徴をコンパクトに要約し、かつ私見(400字程度のまとめ)を述べてください。

合格レポート(日本)

本稿では、日本の図書館発展の特徴を時代別にまとめる。

1 古代

日本の図書文化は、4、5世紀頃に大陸から文字が伝わり幕を開けた。大陸からはほかにも情報伝達媒体である紙や墨、そして仏教が伝来した。

仏教は聖徳太子の保護の下広がりを見せ、仏典の書写が盛んとなった。やがて仏典の保管場所として経蔵が誕生し、僧籍関係者に利用されるようになった。

大化の改新を経て律令国家が形成されると、行政運営は文書で行われるようになった。大量に文書が作成される中、大宝律令により、行政文書を専門に扱う機関の図書寮が定められた。

その業務は、図書の保管、国史の編集、仏像の保管、経典の書写、紙・筆・墨の作成等多岐にわたり、役人への図書閲覧・貸出も行っていた。

奈良・平安時代には、貴族による文庫設置が隆盛を極めた。

石上宅嗣の芸亭は、儒教の典籍が収蔵され、好学の人たちに開放された。これは日本最古の公開図書館とされる。

菅原道真の紅梅殿は、一門の子弟に開放され、教育的機能を兼ねた文庫であった。

2 中世

この時代、文化の担い手が貴族から武士に代わり、中央から地方へと文化の拡散が行われ、文化の庶民性が強くなった。時代を代表する文庫が金沢文庫と足利学校の文庫である。

金沢文庫は、鎌倉時代中期に北条実時によって設けられた。個人文庫の性格が強く、利用は僧侶等一部の関係者に限られていたが、蔵書が豊富で漢籍や国書が2万巻以上あったとされている。

金沢文庫の興隆は、この時代に学問が武士や僧侶の間に浸透していったことを表している。

現存する日本最古の学校とされる足利学校は、創立経緯は不明であるが、室町時代に上杉憲実が再建し、発展した。学生は僧侶に限定され、儒学中心の教育がなされた。

ここで学んだ僧侶は、軍事顧問として武士に重用された。蔵書は時代を反映し、戦いで重視された易学の典籍が豊富であった。

その他中世の有名な文庫としては、半官半民の名越文庫や藤原宗隆の梅小路文庫などが挙げられる。

3 近世

平和が続き経済活動が活発となった江戸時代には、幕府の学芸奨励も手伝い、文化が下層階級にまで伝播し、町人文化が花開いた。 

商業出版が営業として確立し、書籍を出版販売する書肆や「大惣」に代表される貸本屋が誕生、寺子屋などで文字を学んだ庶民の間に本が流通していった。 

文字に親しみを持った庶民大衆は、次第により一層の知識を得ようと読書施設を求めるようになり、浅草文庫や青柳館文庫といった今日の公共図書館的機能を持った庶民文庫が盛んとなった。

社会が安定したこの時代、庶民文庫以外にも階級別に様々な文庫が設置された。

徳川幕府による富士見亭文庫(後の紅葉山文庫)、大名による蓬左文庫や南葵文庫、現在の東山御文庫の中核となった天皇の文庫、公家の陽明文庫などが有名である。

また、学校文庫では、幕府が封建制度の維持を狙い作った昌平坂学問所の文庫が蔵書を豊富に揃え、中央図書館的な機能を果たしたとされている。

4 近代以降

封建社会が崩壊し明治を迎えると、福沢諭吉らが西洋の事情を紹介したことを契機に、我が国でも図書館設立の機運が高まり、国立国会図書館の源流となる書籍館や近代公共図書館の先駆けとなる集書院が開設された。

明治中期から末期、日本文庫協会(後の日本図書館協会)の設立や日本の社会教育施設として初の法律である図書館令の公布など、制度整備の進展を背景に公共図書館は急速に増加し、近代公共図書館は一定の成熟を得た。

しかしながら、昭和に入り国家が戦争へ向かう中、図書館も改正図書館令の下、図書選択の統制や貸出・閲覧禁止といった思想善導機関としての役割を担わされることになる。

戦後、米国の指導の下、図書館の民主化が図られ、司書の職務規定と資格、図書館奉仕など新しい図書館のあり方が示された図書館法が制定された。

その後、図書館は貸出サービスが積極展開されるきっかけとなった「中小レポート」の発表等を経て進化を続け、情報化社会において新たな役割を期待される今日へと至っている。

5 おわりに

ここまで記してきたことから、日本の図書館は仏典保管庫の経蔵からスタートし、様々な姿で活用されながら、現代の自由で開かれた形に辿り着いたことが見て取れる。

その間、利用が一部の身分の者に限定されていた時代や、国家により統制された時代もありつつも、先人たちが人々の知への欲求に応えようと苦難を乗り越え努力した結果が今の図書館を形成していることを忘れてはならない。

これからの図書館員には、先人に思いを馳せながら、新たな時代に求められるサービス、例えばWEBを活用したサービスや積極的なレファレンスサービスなどを展開するとともに、理念を次世代に継承していく責務があるだろう。

グローバル化が進展する今日、情報は遮られることなく世界中に広まっていく。

いつの日か日本の図書館が利用者目線で生み出した先進的なサービスが各国に知れ渡り、かつて我が国の図書館が西洋に学び発展を遂げたように、世界の図書館の発展に寄与することを強く願う。

(※ブログ掲載に当たり、字下げをなくし改行を増やしています。)

参考文献

・佃 一可編『図書・図書館史』樹村房 2012
・千 錫列編著『図書・図書館史』学文社 2014

講評(抄)

設題のポイントをしっかり押さえ、日本の図書館史を大変分かりやすくまとめられています。特に初期の図書館が限られた特権階級のためのものから、現代の誰でも自由に使えるものに変化してきたことを理解している内容であり秀逸でした。私見も納得できる内容でした。

合格レポート作成のポイント

図書・図書館史のレポートは、私見以外テキストをまとめればできるので、比較的書きやすいと思います。

書き始める前に、時代ごとに字数配分をしっかり行うことが重要です。

僕は、私見部分(400字)を除いた1,600字を均等に4分割して、各時代400字を目安としました。「4 近代以降」はキツキツだったんで、少し多めにしてもいいかもしれません。

私見については、これまでの図書館の歴史を踏まえた上で、今後の図書館と図書館員がどうあるべきか、思ったことを素直に書き綴ればOKでしょう!

ちなみに、僕はこのレポートで「図書館が戦時中に思想善導の役割を担った」ということを学び、“今の自由な図書館があるのは当たり前のことではないんだなぁ”と深く考えさせられました。歴史を学ぶことって大切ですね!

トッス
トッス

図書館は戦時中と同じ過ちを繰り返さないようにしないとね!

ビーちゃん
ビーちゃん

トッスも借りた本の返し忘れを繰り返さないようにしないとね!

コメント

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